新内規実践記

「私はパチンコ・スロットをしている時に感情を表に出さないタイプである」

数少ない小論報読者には今回の内容を読み始める前にこれだけは覚えておいて頂きたい。この感情を表に出さない事がとんでもない事態を引き起こしたのだから・・・。

事の発端は 11 月の下旬、コラム「新基準について」を発表した男が社内はもとより周囲からの「まだ実践していないの?業界人失格(笑)」と言われた事から初めて新基準機を実践した事から始まる。男は以前より業界人として新基準機を打ちたいと感じていたが、いかんせん「新基準を打つお金が無い」という悲しい状況にさらされていた為、未だ実践はしていなかった。しかし下旬ともなると給料が入ってきてしまう・・・こうなったら「お金が無い」という言い訳は既に使えない。ましてや [ 時間が無い ] という言い訳も周囲の人間であれば通用するが、私のスケジュールをほぼ知っている社員に対しては言えなくなってしまう。この様な状況であった為、男は給料袋を握り締めホールへとしぶしぶ向かったのであった。

ホールに到着すると当然ながら新基準機は「大ヤマト 2ZF 」「おそ松くん」の2機種しか設置されていない。個人的には「大ヤマト」を打ちたかったのだが残念ながら満席であったので、「おそ松くん」に着席。実践結果はというと、予想通り1回も大当りせずに飽きてしまった。まぁ、大当りの瞬間も見られた事だし(隣の人のですけど)新基準の厳しさ(スタートの戻しが 3 個、等)も感じたので十分満足していそいそとホールを出ようとしたところ、運が良いのか悪いのか「大ヤマト」で1台空席を見つけてしまった。「勉強の為にもどうせなら大ヤマトも打っておくか」という気持ちから実践開始!これが悲劇を生む結果となってしまった・・・。

冒頭に書いたように私はパチンコを打ちながらほとんど感情を表に出さない。従って、どんなリーチが外れようと表情には一切出さないのである(もちろん気持ち的にはかなり悔しいのだが)。当然のように [CHANCE ボタン ] なんかは一切押す事もしない。内部的には [ 大当りするか ] とか [ 確変かどうか ] は既に決まっているわけだから、一生懸命ボタンを叩く行為が恥ずかしすぎて出来ない自分がいるからである。しかし、「巷の遊技客にそんな感情を持っている方はめったに居ないのだな」と痛感させられてしまった。周りを見渡せば全員が上皿部のボタンを連打!連打!!連打!!!あまりの気合いの入れように少々びっくりもさせられたが、それだけ大当りあるいは確変を引きたいという気持ちの表れなのかと静観していた時に知らぬ間に自分の台で [ 大ヤマト砲リーチ(正面 VER ) ] が掛かっていた。当然のごとく周りのお客さんが一斉に自分の台に注目!もちろん自分は感情を表に出さないので、微動だにせず静観・・・。すると当たり前のごとく外れるリーチ・・・周囲からは何故か安堵の様子がひしひしと伝わってくる。まぁ、自分も隣の人が大量に出玉を出していたら正直気持ちの良いものではないのでその気持ちは十分に理解できる。しかし、そんな私にも理解の出来ない人間が隣に座っていたのである!なんと、リーチを外した後にわざわざ私に向かって「今のリーチが一番熱いやつだよ〜」と言い放ったのである。ここで確認しておきたいのだが、私は大当りしていないのですよ!皆さん!もう、びっくりです。それだけではなく、そのとても親切なおじさんは頼んでもいないのに「大ヤマト」についての説明を延々と始める始末・・・どうやら私があまりにも感情を表に出さないので「パチンコ初心者」と思い込んでいるようなのである。

延々と続く説明にうんざりしながらも打ち続けていると、突然再始動から [ スペースゼロ( WARNING )リーチ ] で念願の大当り!単発絵柄だったのだが、当然のごとく自分は再抽選の際にボタンを叩かない。残念ながらそのまま単発大当りとなってしまったので「あ〜あ〜」と内心は思ったが、元々自分はパチンコ運が無いのでしょうがないとあきらめていると、隣のおじさんは初心者の私が当たったのが気に障ったのかあきらめて帰る支度を始めだしたのである。そして帰り際に放たれる予想済みの一言「ちゃんとボタン叩かないと駄目だよ!じゃないとまず確変はひけないよ!君!」私が「はいはい」と丁寧に流していると、さらに信じられない一言が・・・「この台さっき大ヤマト砲リーチ外したでしょ!?多分これから調子悪くなるよ。それにこの台は 絶対に設定も低いよ! 」だそうです・・・。



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